改めて検討したい「採用」について ➁
こんにちは。齊藤マネージメントサービス 代表の齊藤です。
前回に引き続き、今回も採用について考えていきます。
1.新卒採用なのか、中途採用なのか
新卒採用が良いのか、それとも中途採用が良いのかというご質問を頂きます。一概にどちらが良いかということは申し上げることはできませんが、各々以下の様な点を考慮する必要があります。
◆新卒採用の目的
新卒採用の目的は、教育を通じて自社が望む人材に育てることになります。当然、得意不得意な仕事が存在しますが、適材適所の可能性を探ることができます。職種、職務、資格などの制約を受けないため、将来何ができそうなのかといった視点で採用選考できます。
一方、デメリットは、教育に長期間掛かるということになります。
◆中途採用の目的
中途採用の目的は、スペシャリストを即戦力で使うことになります。経験期間や経験量が必須条件になります。ここで、スペシャリストとは、正確にいえば、プロを目指す従業員とプロ人材そのものの両方があります。前者を採用する場合には、教育コストが発生しますが、 適材適所の考え方で臨めば、必ずプロに育ってくれるはずです。
一方、デメリットは、選択肢がかなり狭まってくることです。何かしらの制約(資格、免許、一定の経歴等)があり、そのうえで、考え方や価値観が企業と合う応募者を探し出すことになるためです。
いずれにせよ、大事なことは考え方や価値観が合うかどうかです。知識や技術は入社後でも教育によって身に付けることはできます。考え方や価値観は簡単に変えられるものではありません。
2.雇用形態を考える
正規雇用とは、雇用期間を限定せずに定年まで働き続けることのできる正社員の身分で採用をすることです。
日本の雇用慣習は長らく、労働契約期間・労働時間・勤務地・職種・職務に制限がないといった条件に該当する人を雇用するというものでした。今もその傾向は強いと考えます。
しかし、今後の人口減、労働力減、少子高齢化に伴い、正社員のみを戦力として考えるだけで良いのでしょうか。「子どもが幼いため昼間の決まった時間しか勤務できない」「親の介護のため転勤できない」といった人は 戦力にならないのでしょうか。
私は、そんなことはないと考えます。当然、処遇と責任の均等均衡については検討しなければいけないポイントですが、少子高齢化という労働市場の環境変化から正社員と有期雇用社員以外の雇用形態を検討する時代に入ったのではないでしょうか。
3.募集条件を考える
採用に際しては募集条件を検討することになりますが、この募集条件に対して採用される側から見て満足感を感じる要因と不満足感を感じる要因は、まったく別のものです。ここをきちんと理解しておかないと、後々、トラブルや退職の原因になりかねません。
◆動機づけ要因
動機づけ要因とは、仕事を通じて精神的に成長したいと思う高レベルな欲求を充足させる仕事の満足感に関わる要因になります。モチベーションが上がり、やりがいを感じている状態なので長続きします。これらは、難易度の高い仕事に挑戦しやり遂げた達成感、周りからの承認、責任の拡大、昇進などです。
◆衛生要因
一方、衛生要因とは、人間としての苦痛や欠乏から逃れたいという欲求を充足させる仕事の不満足感に関わる要因になります。これらの要因が満たされていないと不満足感を覚えます。また、不満足な要因を取り除いたとしても、不満足感が減少するだけです。これらは、企業の方針、労働条件、給与、職場の人間関係などです。高額な賞与を支給されて満足感を得たとしても、金額に慣れてしまうと、不満足な感情がまた芽生えてきます。したがって、モチベーションが高い状態は長くは続きません。
では、衛生要因が重要でないかというとそうではありません。
求職者は、まず労働条件や給与額などの衛生要因を確認します。当然、労働条件や給与などの衛生要因を満たさない求人条件であれば、応募してきません。また、労働条件や給与を詳細に説明せずに採用してしまうと、入社後に「採用条件と違う」ということで争いごとになったり、すぐに辞めてしまうといった問題になります。
衛生要因を満たした上で、応募者の胸が踊るような動機づけ要因をアピールする事が必要です。
仕事のやりがいを説くこと、仕事を通じて成長できる環境をイメージさせること、ある仕事を成し遂げた従業員の達成感を伝えること、などです。
「この社長やこの会社の人たちと一緒に働きたい」と思わせるメッセージなど、期待感溢れる情報を応募者に提供することが大切です。中小企業・ベンチャーの人材募集は特に動機づけ要因に遡及する必要があります。
4.会社の方向性の明確化とモチベーション
採用後は①会社の方向性、➁社員のやりたいこと(方向性)、③社員のできること(スキル)を明確化することが重要です。会社の方向性と社員のやりたいことが合っていれば、社員はその方向に向かって努力します。その上で、できたらきちんと評価するということが重要です。
採用後は、育成の時間を確保し、評価のフィードバックを行い、従業員満足を定点観測することで、従業員を定着させなければ、採用の成功とはなりません。真の採用の成功とは、採用された従業員が成長し、長期にわたり活躍してくれることに他なりません。
前回と今回2回に分けて、採用について、考察させて頂きました。
ご参考になりましたら幸いです。最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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